任意整理は裁判所に対して申し立てを行うものではないため、個人再生や自己破産などのように利用条件が法律で明確に規定されているわけではありません。

ただ誰でも簡単に利用できるものなのかと言われるとそうではなく、利用するにはある程度の条件を満たしておくことが必要になります。

では具体的にはどういった点がポイントになるのかというと、最も重要なのは収入があることです。

そもそもこの任意整理という方法は「現在の状態だと返済不可能になる可能性があるため、返済条件を再設定した上で返済を継続していきたい」ということを債権者側に伝えて合意を得ることで成立するものです。

重要なポイントは返済条件を再設定した上で返済を継続するという部分ですから、そもそも返済できるだけの収入が無いという人だと合意できる可能性が無いのです。

交渉を持ちかけるだけであれば誰でも可能ではありますが、合意を目指すとなれば現在どれくらいの収入があり、どういった内容であれば返済できるのかということを具体的に債権者側に提示する必要があるため、ここは注意しておくべきポイントと言えます。

また事実上の条件として押さえておく必要があるのが弁護士・司法書士からの要請がなくてはならないということです。

本来としては交渉をするだけのことで弁護士・司法書士の資格が要求されることは無いのですが、債権者からすると弁護士や司法書士といった専門家では無い人から交渉を持ちかけられたとしても応じない可能性が高いです。

これは合意できるかどうか以前に交渉にすら応じてくれないということになっており、特に大手の金融事業者となると個人からの任意整理要求はその時点で対応しないことが多くなっています。

この点に関しては本当に事業者側によって対応が異なるため、中には個人からの要請でも快く受けてもらえるところもあるでしょう。

ただ任意整理が持ちかけられているということは債権者側にとって利益が減少する可能性が極めて高いということになりますから、やはり交渉に関しては専門家に一任した方が無難です。

最近だと任意整理に応じない方針を持つ業者も増えてきているため、かつてのように債務整理の方法として選択するメリットが大きいとは必ずしも言えなくなってきました。

ただそれでも裁判所を通さずに債務整理を実現できる方法として貴重なものですから、もし債務整理を考えているのであれば弁護士や司法書士に相談をしてみましょう。