昔借りたお金が返済できなくなり、任意整理をすることに決めて弁護士に依頼したところ、債務額がかなり減ったとか、お金が戻って来たなどということがよくあります。
なぜこれから任意整理をするのに、逆にお金が戻って来るなどということになるのでしょう。
実はこれは、その当時の法律とも大きな関係がありますし、いわゆる過払い請求とも関係があります。

2010年より前に消費者金融でお金を借りた場合には、法定で定められた以上の金利がついていました。
元々は利息制限法という法律により、年間で20パーセントと定められていたにもかかわらず、それとは別の出資法という法律では、29.2パーセントまでであれば罰則規定がなかったのです。
そのため多くの消費者金融では、利息制限法で定められた20パーセントではなく、それ以上の金利でお金を貸すのが当たり前になっていました。

しかし2006年の最高裁判決により、これが問題視され、かつての利用者の間から、払い過ぎた金利を取り戻そうという動き、いわゆる過払い請求へと発展して行きます。
また関連法律もその後見直され、2010年に改正貸金業法が新しく施行されることになりました。
この法律では、法定金利は上限額が20パーセントであるときちんと定められ、それに違反した業者は、処罰の対象となりました。

ですから、この改正貸金業法の施行より前に消費者金融でお金を借り、返済が困難で任意整理をする場合には、現行の貸金業法で定められている、20パーセントの金利で債務を再計算することになります。
そのため、債務額がかなり少なくなることがありますし、場合によっては債務がなくなり、逆にお金が戻ってくることもあるというわけなのです。

また任意整理をする必要はなくても、過払いがあるかどうかの確認を、弁護士または司法書士に依頼することもできます。
これは完済した場合でも可能ですが、最終取引から10年以内という条件があります。
この場合は契約時の書類や明細を持参することになります。
この点では任意整理を同じですが、借金の整理を行うわけではないので、信用情報にブラックがつくことはありません。

過払い請求の場合は、自分で債務額を再計算することもできますが、消費者金融との交渉が必要になりますので、やはりプロに任せた方がいいでしょう。
それから司法書士に依頼する場合は、債務額が140万円までという制限がありますので、その点にも気を付けるようにしてください。