任意整理も特定調停も債務整理の手続きの一種ですが、特定調停では必ずしも弁護士や司法書士などの法律の専門家に依頼しなければならないわけではありません。
その気になれば手続きは自分で頑張って進めることも可能なのです。
ただ、裁判所に選んでもらう調停委員の選定が必要となるケースはあります。
その調停委員というのは、債務者と債権者の仲裁として、それぞれの言い分を考慮して合意に至るように働いてくれる人たちのことです。
ただし特定調停を自力で行うと、裁判所に申し立てをしない限りは返済の義務は続くことになります。
ですから債権者の取り立てを、直ちにストップすることはできません。
ゆえに債権の取り立てを速やかにストップしたい場合には、やはり弁護士や司法書士などの専門家を代理人として立てなければなりません。
それに裁判所に申し立てを行うとはいっても、専用の申し立て書、関係権利者一覧表、財産状況書類などの提出が必要ですので、それらを全部準備するだけでも大変ですので、それなりに手間暇がかかってしまいます。
ですから結局、自力ではすぐに取り立てをストップすることはできないでしょう。
それに特定調停の場合は、もしも調停調書(債務者と債権者の間で合意が成立すると裁判所が作成してくれる書面のこと)の取り決め通りに支払えないと、債権者から給料などを差し押さえられてしまうこともあります。
強制執行の権利を持つことになります。
その点、任意整理なら弁護士などが代理人として基本的に全ての手続きを行ってくれますので、依頼人が手間暇をかけて頑張る必要はなくなります。
確かに任意整理では実費だけでは済みませんので、弁護士への依頼料金など、費用は高くなってしまいます。
しかし、自分でやらなければいけないことが少なくなり、責任も小さくなってくれます。
時間的な拘束が少ないので楽だと言えます。
それに特定調停では、過払い金返還請求を同時に行うことができませんので、その分、債務からの差引計算ができなくなってしまうというデメリットもあります。
しかし任意整理なら、通常、債務名義は作成されません。
ゆえに何かの理由で返済ができなくなってしまっても、差し押さえなどの強制執行をされる心配もありません。
ですから自分の生活を守ることができますので、このメリットは非常に大きいと言えるでしょう。
いずれにしても、両者どちらにもメリットとデメリットがありますので、自分にはどちらが最適なのかは専門家に相談するなどして適切に判断しなければなりません。