任意整理とは、任意で債務を整理するということです。
これだけでは意味が分からないと思いますが、端的に言えば、債権者と債務者間で話し合い、債務を支払いやすくする合意を形成することです。
任意で行われるため、法的整理と区別されますし、債務者からの申し出があった場合に、債権者がそれに従う強制的な義務などはありません。
もちろん、一度合意が形成されれば、和解や契約更改といった法的性質を持つため、それは契約としての拘束力を持ちます。

任意整理が行われるのは、もちろん債務の支払いが困難になるためです。
そのままでは返済ができないという時に、債務者が申し出ます。
手続きは、特に定まった様式があるわけではありません。
ただ、債務者の方から申し立てることになります。
支払いが困難になった方が、何とか支払いが楽になるようにしてくださいとお願いするわけですので、当然です。
どのような合意を形成するのかというと、毎月の返済額を少額にしてもらうことや、利息をストップしてもらうことなどが行われます。
利息は、お金を貸す側にとっては、利益となる物ですので、それを受け取れないということは、貸し付けた意味がなくなります。
元本だけ帰ってきても、プラスにはならないのです。
しかし、任意整理ではたびたびこのような合意が形成されます。

利息をストップしてもらえる理由は、支払いが困難な債務者が、万が一法的整理を行ってしまうと、最悪の場合1円も回収できなくなるのに比べ、少なくとも元本の回収が期待できるようになるため、比較考量をして、少しでもましな選択肢をとるためです。
返済額も少しずつであるため、回収が完了するまでには時間がかかりますが、債務者は支払いやすいため、また、合意を形成した以上、その履行が期待できるため、損をする割合が減少することになります。

以上の任意整理の交渉手続きは、個人が自分で行うことも可能ではありますが、個人が自分で申し出ても、応じてくれない可能性が高いです。
その理由は、安易に応じると、返済能力がある人までも、利用したいと考えてしまうからです。
そのため、多くの場合は弁護士を交渉の代理人とします。
弁護士が間に入ることで、債務者の窮状を伝えやすくなりますし、信頼できる弁護士ならば、法律的な合意をしても、それが無駄になるということを避けることができるためです。
したがって、任意整理をしたい人は最初に弁護士に相談することから始めましょう。